感傷

 昨日の書込で、良くJazz喫茶に籠もっていたと言う話を書いたけど、何となく感傷に浸ってみたくなったので、大学時代に通っていたお店について書こうと思う。

  • スイング(渋谷)

 昔は店名どおりスイングジャズのレコード専門のジャズ喫茶だったらしいけど、その後モダンジャズに変わって、僕が行くようになった頃には、既に映像を流すのお店になっていた。当時はまだタワーレコード東急ハンズのはす向かいにあったり、上の階に名前忘れたけどDJの人が良く使う有名なレコード屋があったり、あと「チチカカ」という中南米の雑貨屋があったりして、そう言う店に行くついで、いやスイングに行く口実としてそう言う店に行ってたのかも。とにかく、昼頃にそうした店に行った後にスイングでビール(つまみにポテチと柿の種付き)を飲み、数時間粘った後、隣の吉牛を食って、じゃあ帰るかという頃には終電という、なんとも非生産的な日常を送っていたんでした。そうそう、ちなみに大学時代、なかなか家から出なかったのだけど、逆に一度家を出たらなかなか帰らないと言う生活でした。良く友達や先輩(井の頭線周辺に多かった)の家に泊めてもらった後に渋谷行ったなあ。
 で、当時はまだDVDなんて陰も形もなく、レーザーディスクやテレビを録画したビデオが中心。これが英語ともローマ字とも何とも言えないスペルで書かれたリクエスト帳(確か3冊だったと思う)にリスト化されてて、そこから先に来た客から順番にリクエストしていくというシステム。マイルスのモントリオールのライブMiles Davis - Live in Montreal [DVD] [Import]やジョニミッチェルのシャドウズアンドライツシャドウズ・アンド・ライト[完全版] [DVD]なんていう名作もスイングで初めて見たんだけど、僕にとってはそれよりも、昔のライブアンダーザスカイやマウント富士ジャズフェスティバル、斑尾ジャズフェスティバルなんかのテレビ中継の録画が楽しみだった。中でも印象にの小手居るのが確か83年のライブアンダーのウエザーリポートでのオマーハキムとジョーザビヌルのソロ対決、オマーのよだれまき散らしながらのドラムソロには興奮を通り越して、おしっこちびっちゃいました。同じ年のソニーロリンズがパットメセニーと一緒にやってるステージでオーネットコールマンの曲をやっているの。あとはやっぱりライブアンダー84年、ギルエバンスオーケストラの一員で来てたジャコパストリアス。既にあちらの方へ行っちゃってましたが、演奏は最高。そうそう、あとウィ・ウォント・マイルスになってる新宿西口でやったマイルスの復帰コンサート。これは確かNHKだった。マーカスミラーやマイクスターンといったバリバリの若手を従えていながら、水兵の格好をしたマイルスがひたすらボチボチと歩き続けながら演奏するのが、何とも言えずもの悲しかった気がした。他にもホントにお宝映像満載だったんでした。
 スイングは僕が会社に入って3年後、97年に閉店したんでした。実に残念。まあ、ビール一本で5時間も6時間も粘られちゃ、そりゃ商売になりませんよね・・・

  • A&F(吉祥寺)

 多分単一のお店ではこの店に居た時間が一番長かっただろう。おしゃべり禁止の、いわゆる典型的なジャズ喫茶。とは言ってもお店の中が二つに分かれてて、スピーカの目の前は黙って聞く席、店の入り口よりスピーカから離れた側がおしゃべり可となっていた。吉祥寺のジャズ喫茶というと、もう一方の雄がメグ。今考えたらたいした違いはない気がするけど、僕はなぜかA&Fの方が好きだった。比較的新譜も置いてたり、リクエストもしやすかった気がする。上のスイングよりは座席の座り心地が良くて、よく昼寝にも使わしてもらってたけど、とにかく良く本を読んだ覚えがある。今じゃ音楽聞きながら本を読むってできなくなっちゃったけど、実家に置いてきた段ボール3つ分くらいの本はほとんどここで読んでて、それは結構今の僕の血と体になっている気がするな。なんというか、時間が止まって感じられたというか、ウマの合う空間とでも言いますか。
 卒業後は多分一度も行っていないけど、A&Fも2002年頃に閉店したらしい。

 ま、そんな訳で、僕は一人で居られる喫茶店という空間が大好きなわけです。吉祥寺だけでも他にもくぐつ草とかStoneとか良く引きこもってた喫茶店があったのだけど、アメリカにもそういう雰囲気の良い喫茶店はないかなあ。SFのCaffe Triesteとか有名だけど、テラスでコーヒーというとはちょっと違うんだよねえ。