爆発だ!

と言ったのは岡本太郎ですが、僕はその言葉をマクセルのカセットのCMで聞いたのだけど、川崎市岡本太郎美術館の年表によると、1968年に「太郎爆発展」(なんちゅー名前だ・・・)を銀座松屋でやっている。つまり爆発してたのは60年代後半あたりからということではなかっただろうか?
 今日オフィスで一日流れていたのは、

 いや、もう、何がスゴイって、この人達、同じ演奏を絶対にしない。ほとんどが一発OKてな具合で録音されている感じだけど、いくつかのalternateテイクでも、テンポは変わってるし、下手したらソロの時のコード(っていう感じすらしないけど)も違うんじゃないだろうか?曲自体はショーターの影響か、どんどん抽象的になっていくのに、演奏のテンションというか、集中力はどんどん高まってる。とにかく「クリエイティブな現場」っていう感じがする。個々のメンバが才能を開放してるのは言うまでもないんだけど、65〜68までの3年間、このバンドのエンジンはなんと言ってもトニーウィリアムスだ。ハービーのサウンドも、マイルスとショーターの音色もそうだけど、このトニーの爆発的な演奏がなんと言ってもこの音楽の場を支配している。トニーと言えば超高速爆音ドラムのイメージがどうしても強いのだけど、すごく周りの音がきこえてるし、よくよくライドの音とかを聴いてみると、実はとても繊細なコントロールができるのに、確かに音量は爆音なわけで、そこで、冒頭の岡本太郎の出番な訳ですよ。何がトニーを爆発させたかって、そりゃもう時代そのものだったんじゃないかと。メンバーで一番若いトニーがそれを一番敏感に感じていて、「同時代的」ということに拘ってきたマイルスがトニーを大事にしたのもそういうことじゃないのかなあ。
 ジャズの「伝統芸能」的な側面も否定はしないけど、僕はやっぱ「同時代性」は持ち続けたいなあと思う。あ、これは音楽だけでなくて、仕事も、生活スタイルも、全てにおいてだけどね。まだまだ修行が足りませんが、いろいろ面白いことを考えてる人や、「今」を意識的・無意識的に感じている人(結局それって若い人てことになるのかなあ・・・)と、ずっと現役としてつき合っていけるようにならないといけませんな。てなこと言ってること自体が、おっさんか?

 BGMで聴いてるのだけど、寝られなくなりそうなので今ちょうど流れてる2枚目が終わったら止めにする。これが69・70年の録音。僕が生まれる頃ってこんな時代だったのね・・・どこだよ、「こーんにちわー、こんにーちわー」なんて暢気な歌が流行ってた国は!

 昨日は家でこれ聴いてました。これはこれで、音楽がどんどん変容していく過程がわかる素晴らしいBoxセットだけど、ちょっとこんなの毎晩寝ないで聴いてると何かが壊れていきそうなので、明日は少し前の時代にもどって、60年代前半のギルエバンスとのコラボレーション時代を聴くことにしよう。